Newcomer21

平成26年度
遠藤 拓
HIRAKU ENDO

2014年度、聖マリアンナ医科大学産婦人科教室に入局させて頂きました、遠藤拓(ひらく)です。出身大学、初期研修病院ともに本学であります。
僕は、いわゆる「産婦人科の息子」であり半ば産婦人科医を志す事は運命的に決められていたような雰囲気で入局までやってきました。ただ、私の父は一度も産婦人科になって欲しいとは言わず、好きな分野に行けと言っておりました。というのも、「自分の意思で道を選ばなければ気持ちが続かないから」という理由のようです。
私の実家は北海道の片田舎で産科のクリニックを開業しておりまして、年間500弱のお産をとっております。現在は父と常勤医師2名という勤務体制です。昔は考えもしませんでしたが、単純計算で週2から3回、月15回の当直をしていることになります。今の自分が月8回当直であることを考えると、父の当直回数の方が圧倒的に多い事になります。(もちろん、大学とクリニックという違いこそありますが)
北海道には大学病院が3つしかなく、母体搬送などは近くの市立病院に搬送しています。いかにハイリスク症例を見抜いて早めに高次医療機関に搬送出来るかが、母児にとって重要かが鍵になります。首都圏の様に医療機関の数が少ないことも考えると、地方都市での医療はまた別物であると思います。時に父に肝を冷やす様な重症例の話を聞くと、自分は産婦人科医としてやっていけるか不安になります。ただ産婦人科を選んだ時は父はとても喜び、話す事も増えました。それだけでも今まで迷惑をかけて来た分少し孝行は出来るのかなと思っています。
それでも入局に際してはとても迷いました。研修医時代は漠然と産婦人科に行くのだろうなと思ってはいましたが、その他の科も見てみたいという気持ちもありました。そのような理由もあり、いっそ一生回れないだろう診療科を回ろうと思い研修しました。中でも印象深かったのは脳外科での研修で、手術に入らせていただいたり、外科ならではの生活を知り、慢性硬膜下血腫の手術に執刀させて頂いたりもしました。頭を開けるという行為自体、想像するだけで怖いですが二度と出来ない経験をさせて頂きとても感謝しています。
そのように、沢山他の科の先生達と知り合いになった事で産婦人科に入局した後も色々相談出来る環境があり、とても幸せです。人それぞれ考え方は違いますが、僕は聖マリアンナが好きであり、自分の大学をより盛り上げたいという気持ちが強かった為本学に残る事を決めました。
いざ入局してみると、今まで見えてこなかった部分が見えてきます。確かに忙しく、たまにひと息つきたくもなる時もありますが、聖マリアンナ医科大学産婦人科教室は今、日本の中でもがん生殖医療等、画期的なジャンルにチャレンジし、産科、婦人科、生殖、更年期とバランス良く機能しています。僕も具体的に将来のビジョンは見えてはいませんが、方向性を決め付けず、とにかく今を思いっきり楽しみ、頑張る事で今後が見えてくるはず、と信じて頑張ろうと決めています。後輩にも胸を張り勧められるよう、とにかくどんな環境でも「明るく、楽しく」という姿勢で頑張りたいです。
僕の名前の由来は、未来を切り『拓く』という意味です。その名の意味に負けないよう、医局のさらなる発展と、日本の医療の発展に少しでも貢献出来るよう、日々精進して参ります。若輩であり、おぼつかない点は多々あるかと思いますが、御指導御鞭撻の程よろしくお願い致します。