Course6

講座|女性医学
より広く、より深く。
探求していく、
やりがいがある。
五十嵐 豪SUGURU IGARASHI
大学病院婦人科副部長 講師

目で見て変化がわかる喜び。

父が内科医だったこともあり、当初は内科医を目指していました。産婦人科に入局したのは、外科的でありながら、内科的なこともできる産婦人科の面白さに気づいたから。当院には、内分泌系の不調でお困りの患者さんのための女性内分泌専門外来、アゼリア外来があります。更年期障害の患者さんへのホルモン補充療法や漢方の処方によって、症状がみるみるうちに改善していく。その様子を間近で見る醍醐味を知りました。女性医学と一口にいっても、更年期障害だけではありません。高血圧や糖尿病、高脂血症や軽度のうつ病など。さまざまな患者さんが、アゼリア外来に来られます。さらには、生理不順や月経コントロール、スポーツ医学にも女性医学が関連しています。幅広い知識をもとに、幅広い年代の女性のQOLを上げていく。女性医学の分野は、非常にやりがいがあると思います。

臨床研究にうってつけの環境。

生殖や腫瘍など、他の産婦人科の外来のバックアップとしての役割も、女性医学に期待されているところ。早発卵巣不全の患者さんの不妊治療後のフォロー、卵巣がんの患者さんの術後のホルモンバランスのフォローなど、各分野との連携がスムーズなのも、大学病院ならではといえるのではないでしょうか。さらにいえば、難治性の疾患をはじめ、たくさんの症例を診ることができるので、臨床研究の場としても当院は最適だと思います。私が興味を持っているのは、がん患者さんのフォロー。がんが完治することも珍しくなくなった今、その後の人生のクオリティを高めるために女性医学が貢献できることはたくさんあると思うんです。女性医学自体、歴史が浅い分野だからこそ、研究テーマは無限にある。過去の誰かの研究にとらわれずに、全く新しいチャレンジができるところも魅力だと思います。

笑ってお帰りいただくことがゴール。

産科や婦人科腫瘍、生殖に比べると、女性医学はメジャーではありません。だからこそ、穴場だと私は思っています。女性のほとんどが更年期を迎えることを考えれば、これからも患者数が減ることはありません。むしろ高齢化が進むなかで、いつまでも若々しく、健康でいたいと考える女性が増えています。その一方で、女性医学を専門としている医師は少ないのが現状です。専門性がある医師は、これからの時代、重宝されると思います。女性医学に向いている方は、患者さんにじっくり向き合うことのできる方。アゼリア外来がめざしているのは、患者さんに笑ってお帰りいただくことだと私は考えています。日頃のお悩み、心配ごとなどをお聞きする時間も、診療の一部。30分じっくり話を聞くことで、5分の診察では見えない本質が見えてくる。その過程を面白いと思える人でしたら、きっと活躍できるはずです。