Course4

講座|内視鏡
腕を磨いた先に、
一流の道が見えてくる。
出浦 伊万里IMARI DEURA
大学病院婦人科医長、講師

内視鏡手術に圧倒された経験。

もともと生殖医療に携わっていた私は、不妊症の検査や治療のために内視鏡手術を学びはじめました。産婦人科医人生の転機になったのは、とある学会で世界的に有名な内視鏡手術の名医に出会ったこと。悪性腫瘍手術も含めてその技術は本当にレベルが高すぎて。一瞬でファンになりました。それ以来、自分も内視鏡手術に携わりたいと強く思うようになったのですが、悪性腫瘍の分野は門外漢。いつかは一流の内視鏡手術を学びたいと思いながら、産婦人科医としての経験を積み重ねていったのです。それから数年後、縁あって憧れの先生に師事する機会に恵まれ、技術の研鑽に励みました。本当にイチからのスタートでしたが、とにかく技術を獲得するのに必死でしたね。研修後は本格的に悪性腫瘍手術も含めて内視鏡手術に取り組みたいと考え、婦人科腫瘍の専門医も取得。サブスペシャリティーを生殖医療から婦人科腫瘍へ。当時は私のようなキャリアの重ね方は珍しかったかもしれません。

内視鏡手術の上達は、
どれだけ手を動かすトレーニングをしているか。

内視鏡手術の上達には日々のトレーニングが大切です。外科系手術のトレーニングでは、はじめに縫合結紮をすると思いますが、同様のことを内視鏡下で行います。私も個人用のドライボックスを使い、日々トレーニングをしています。内視鏡手術は直視下で行う開腹手術に比べて技術の習得に時間がかかりますが、一度習得した技術は生涯消えません。もちろん、技術だけで手術ができるわけではありませんし、手術は婦人科腫瘍という分野の一部にすぎませんが、良質な手術を提供できる産婦人科医の存在は貴重だと考えています。

手術とは、真摯に取り組まなければならないもの。

最近は、手術で後進を指導することが増えました。昔は「手術は見て盗むもの」でしたが、いまは「手術を言語化して伝える」という時代になりつつあります。実際の手術では、私語を話すことはあまりなく、定型的な手術を言語化して指導することで、内視鏡手術を習得してもらうようにしています。「緊張感がありますね」と言われたりもしますが、手術とは真摯に取り組まなければならないもので、患者さんのことを考えればそれは当然です。合併症を絶対に起こさず、患者さんに病気を治して早くもとの生活に戻ってほしい。そのために全力で手術に臨みますし、後進にも同じ気持ちで取りくんでもらいたいと考えています。産婦人科医として標準的な内視鏡手術を身に付けたい、レベルの高い内視鏡外科医になりたい、達成目標に個人差はありますが、内視鏡手術を習得したいという気持ちがあれば、ぜひ一緒に頑張りましょう。志をもって頑張る人材にはそれに応える環境を提供できるよう努めます。